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伊藤計劃『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ…

jrf> 伊藤計劃『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』を読んだ。ゲームの小説化で著者の他の作品に比べリアリティラインが低い。読みながら、戦争産業とそれと対照される介護産業において株式的富がどう成立するのかを考えた。

『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』(伊藤 計劃 著, 角川e文庫, 2014年2月)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00IKF4RMY
https://7net.omni7.jp/detail/1102899664

元は2008年6月に単行本として出たものが2010年3月に文庫化され、それを元にKindle化されたものを読んだ。なお、ここでの引用の No. は Kindle 版を元にしている。

先に『虐殺器官』のところで書いたように『Metal Gear Solid 4』に関心があったが小説はまだ読まなくていいだろうと思っていた。しかし、『虐殺器官』『ハーモニー』がおもしろく、また、Gemini さんに読んで損はない…みたいに言われたので、この小説版も買って読んでみたのだった。

メタルギア シリーズは、初代 MSX2 版『Metal Gear』を Steam の復刻版をプレイしている([cocolog:94747629](2024年3月))。PS1『Metal Gear Solid (Integral)』は出た当時プレイした。PS2『Metal Gear Solid 3: Subsistance (初回生産版)』のゲームはまだプレイしていないが、ストーリービデオは見た。他にも買って積んでいてできていないシリーズのものがある。

そんな中、この小説版は単に4の内容だけでなく、それ以前の詳細なあらすじも含み、そこは「ああ、そういう感じだったなぁ」と思うところはあった。ただ、他のゲームをプレイした人のように、小説にはゲームよりも踏み込んだ内容がある…という感想は抱けなかった。そんな詳細まで覚えていなかったので。

伊藤さんの他の作品に比べてリアリティラインが低いのは、例えば、ドレビンに関する部分だ(No.670 ぐらい)。本作では武器が基本的にID登録されていて、昔のゲームのように拾ってすぐ使えるということはない…という設定になっている。でも、ゲームだから、強い武器は戦場で徐々にアンロックされて欲しい。そういうことを実現する「装置」として、武器商人ドレビンがいて、拾った武器に応じてポイントをくれ、それでID登録のない「裸の銃」(『裸の銃を持つ男』という映画があった(^^))を売ってくれる…という設定になっている。わざわざ武器を拾って大量に持ち歩くという、非リアルな設定になっているわけだ。ゲームの小説化だから仕方ない部分だとは思う。

……。

>このような南米の、山岳地帯におけるゲリラ戦術は、そもそも革命を起こして現代中国を作りあげた毛沢東に学んでいる場合が多い。<(No.1379)

毛沢東の戦術については、確か中沢新一『精神の考古学』([cocolog:95634030](2025年9月))にも、あったのを思いだす。

中沢新一『精神の考古学』
>中国共産党が、異民族の暮らす地方へとその影響力を拡大していこうとするときには、よく練り上げられた一定の手法を用いた。最初はまず、自分たちが何者であるかを知らせずに、村の中に入り込んで「工作活動」を始める。貧農たちと親しくなって、村のお偉方である豪紳と呼ばれる大地主たちの非道を告発して、公平な土地配分を訴える。最初の頃はこの主張には街に暮らす民衆たちも、好意をもって見知らぬ善意の活動家たちを迎えることが多かった。

ところが運動が進行するにつれ、村の中でも頻繁に暴力沙汰が起こるようになり、昨夜はどこそこの地主が襲われたという噂が飛び交うようになると、街の人々もしだいに不安を募らせるようになる。その頃にはようやく街の人たちも、赤色化した農村部によって自分たちがすっかり包囲されていっことに気づくようになるが、そのときにはもはや手遅れなのである。ある日の早朝、突然何台ものトラックに分乗した武装した解放軍兵士が中心街に乗り込んできて、重要な建物を一気に占拠する。街の有力者の逮捕が始まり、いつのまにか街の政権の総入れ替えがすんでしまって、役場には何本もの赤旗が翻ることになる。毛沢東の提唱した「農村が都市を包囲する」の戦術である。
<(p.32)