(承前) ……。 >国家防衛情報共有空間<(p.115)…
jrf> (承前) ……。 >国家防衛情報共有空間<(p.115) マイケル・サンデル『それをお金で買いますか』([cocolog:95648124](2025年9月))にはこんな話が出ていた。2003年の話だが、伊藤さんは知っていたのかどうか…。 >> >外国のどの指導者が暗殺されるか、あるいは権力の座から引きずり降ろされるかに賭けたり、次のテロ攻撃はどこで起こるかに賭けたりできるウェブサイトを想像してみよう。そしてこの賭けの結果が、政府が国家の安全を守るのに利用できる有益な情報をもたらすとしてみよう。2003年、アメリカ国防総省(ペンタゴン)のある部局がこうしたウェブサイトを提案した。同省はこれを政策分析市場と呼んだが、メディアは「テロの先物市場」と呼んだ(42)。 このウェブサイトを創案したのは国防高等研究計画局(DARPA)だった。戦争や情報収集のための革新的技術の開発に取り組む機関である。 <(p.210) 確かに市場の情報は早く概ね正確で、隠されている情報まで考慮に入っているかのような動きをする。情報を得るだけが目的ならその目的は達成できるだろう。>自由市場は効率的なだけでなく予知能力を持っているという主張は注目に値する<(p.213)。 しかし、保険金殺人と同じで、賭けに勝つためにわざとテロを見過すような動きが現れないか…空売りなどで当局を攪乱することもできるかもしれない…などの「モラルハザード」が問題になろう。 << ……。 >コントラゲートをみてもわかるように、陰謀論だってときには事実だったりするのだから厄介だ。<(p.118) 《イラン・コントラ事件 - Wikipedia》 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E4%BA%8B%E4%BB%B6 911テロにもいろいろ陰謀論があるのだが、それらの多くがフェイクだとしても、炭疽菌による「陰謀」はあったことだけは確実である。誰がどういう目的で…というのは今も謎のようだが、何がしかアメリカを陥れようとする動きはあった。 《アメリカ炭疽菌事件 - Wikipedia》 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E7%82%AD%E7%96%BD%E8%8F%8C%E4%BA%8B%E4%BB%B6 ……。 この小説の根幹に係るのでネタバレに近いが、敵、ジョン・ポールがいう… >「(…)わたしの頭にこういう妄想がときどき去来するんだよ。街角に書かれたスローガンには、実は意味なんかないんじゃないか、とね。そうしたスローガンの直線的な『響き』が伝えているのは、憎め、守れ、そんなプリミティヴな感情を伝えるための音楽なんじゃないか、そういう妄想だよ」<(p.203) おそらく他のところの多くでもそうだが伊藤さんはここで「真実」を述べていると思う。深層意識とかまだるっこしいことではなく、ストレートにプロパガンダというのは、プリミティブな感情の理性向け「糖衣表現」なのだろう。 ……。 第四部のカウンセリングのシーンは読みごたえがある。 >痛覚マスキング。国防高等研究計画局(DARPA)が開発したこのグロテスクな麻酔は、先頭の障害になる「痛み」を「感じる」のを抑えながら、「痛い」と「知覚する」ことは妨害しないという効果をもつ。<(p.235) こういう未来(?)技術こそ、私が読みたかったものだ。ここの脳理論には納得させられた。 しかし…。 >皮肉なことに人間の脳の研究が進めば進むほど、人工知能の研究はジリ貧になっていった。生身の脳の精巧さ -- というよりは冗長度を、コンピュータで再現することは皆がとうの昔にあきらめている。<(p.240) 伊藤さんが生きていて、今の人工知能を見たら、どんな小説を技術を描き出しただろうか…。