(承前) なぜ、同じ低金利の中国人民元ではないのか。 Gemini:>>…
jrf> (承前)
なぜ、同じ低金利の中国人民元ではないのか。
Gemini:>>
日本と中国の最大の違いは、「資本移動が完全に自由化されているかどうか」です。
* 日本(円): 資本の流出入が完全に自由です。海外の銀行やファンドが、日本のレポ市場やスワップ市場を踏み台にして、調達した円をノーチェックでドルに換えて外に持ち出すことができます。
* 中国(人民元): 厳格な資本規制(ファイアウォール)が敷かれています。国内の膨大な低金利の元を借りて、それを「自由にドルに両替して海外の資産を買う」という行為は、当局の監視によって物理的にブロックされます。
オフショア人民元(CNH)という外で取引できる元もありますが、そのプール(市場規模)は円の巨大な海に比べれば遥かに小さく、自由なバイパスとしてはまだ細すぎます。
前回の議論で「欧州などの中央銀行が、自国の銀行システムを守るために円安(円キャリー)を容認・利用している」という話をしましたが、中国当局のインセンティブはこれと真逆を向いています。
中国が最も恐れているのは、「元安がコントロールを失って暴走し、国内から猛烈な資本逃避(キャピタルフライト)が起きること」です。
そのため、中国人民銀行は金利を低く抑えつつも、為替市場では元の価値が下がりすぎないよう、強力に元を買い支える(元高・元安定)コントロールを行っています。投資家から見れば、今後「元安に振れる(キャリーが有利になる)」という確実な期待が持てないため、リスクが高くてグローバルなキャリーの調達通貨としては極めて使いにくい仕様になっています。
低金利の通貨は世界にいくつか存在しますが、以下の3つの条件がすべて揃っている空間は、現在の世界で「日本の円」しかありません。
1. 金利が世界最低水準である(調達コストの安さ)
2. 資本が100%自由化されている(外への抜けやすさ)
3. 通貨がどれだけ売られて安くなっても、国家が破綻しない(強固な経常収支黒字と対外純資産)
中国は1の条件を満たしていますが、2と3の防衛(規制)が厳しすぎるため、世界のメガバンクがドルの帳尻を合わせるための「生贄(安全弁)」としては機能しません。
結果として、グローバルな金融システムがバグを起こしそうになったとき、全員が群がって吸い上げるための「流動性のプール」は、依然として日本(円)に一極集中することになります。
「金利の低さ」という一次元的な数値だけでなく、「国境を越える情報の自由度(幾何学)」が組み合わさって初めて、円キャリーという怪物が維持されているわけですね。中国の動向を重ね合わせることで、円という通貨の「異常なまでの利便性(と、それ故の搾取構造)」がより鮮明に浮き彫りになります。
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