田村光平『文化進化の数理』に目を通した。 『文化進化の数理』(田村 光平 著,…
jrf> 田村光平『文化進化の数理』に目を通した。 『文化進化の数理』(田村 光平 著, 森北出版, 2020年4月) https://www.amazon.co.jp/dp/4627062710 https://7net.omni7.jp/detail/1107088345 集団遺伝学の数理モデルを文化「進化」に適用する学問があり、その学問での数学もちゃんと書いた本。ただ、数式はそこまで多くなく、後半に行くほど数理モデルの言葉による解説がメインになっていく。 生物の進化論では問題になる群淘汰も戦争とからめた数理モデルで説明されていて、なるほどと思った (p.125 あたり)。私、昔、ボランティアのモデルとか作っていた(↓)が、利他行動を「解析」するなら、この本のアプローチのほうがまともで深いな…と反省した。 《ボランティアについてのゲーム理論的なモデル - JRF の私見:税・経済・法》 http://jrf.cocolog-nifty.com/society/2020/03/post-d45df8.html 事実から逆に系統樹を辿ることの問題は、[cocolog:73888324] で>遺伝子の違い、つまり、「距離」からその祖先を決定するのは「グラフ理論的」におかし<いと書いた上で、>考古学資料とか、別の情報を加味することで(進化の)方向が特定できる<と書いたことがある。p.198 で最節約原理の問題などもちゃんと指摘しているが、ちょっと引っ掛かった。この辺、もっとちゃんと論理的に示すべきなのかも(示そうとして、示せないことが示せるということもありうるが)。 インド・ヨーロッパ語族の起源について、黒海周辺のクルガン騎馬民族説と、トルコのアナトリア起源説を紹介しているが、これって、今、ウクライナの戦争で注目されていることころで、昔のナチスのアーリア人言説とも絡んでくるので、そういう文脈もあるのか…とちょっと気になった。 「おわりに」で「今後の文化進化研究の課題」の一番目として「文化進化における社会的な(非技術的)適応の役割の理解」の例として、>たとえば近年では、宗教と大集団での協力行動や社会の複雑化の関係性について、文化進化や周辺諸分野の研究者を巻き込んだ論争が起こっている<…とあった。ここは、私は「シミュレーション仏教」(↓)との関連があると思うのだが、しかし、私はミクロなモデルから宗教の役割を構築したりできなかったので、そこは私はまだまだだったなぁ…と反省した。 《JRF-2018/simbd: シミュレーション仏教 - Buddhistic Philosophical Computer-Simulation of Society》 https://github.com/JRF-2018/simbd