小野善康『貨幣経済の動学理論』に目を通した。 『貨幣経済の動学理論…
jrf> 小野善康『貨幣経済の動学理論』に目を通した。 『貨幣経済の動学理論 ケインズの復権』(小野 善康 著, 東京大学出版会, 1992年3月) https://www.amazon.co.jp/dp/4130401211 https://7net.omni7.jp/detail/1101037421 先に読んだ同著者の『資本主義の方程式』の理論をガッチリやったのがこの本ということになり、年代的にそういう理論的枠組みの「原点」的な本なのだろう。数式は大して追えず、検算もまったくしなかったことから、私はこの本も「読んだ」というよりは「目を通した」にすぎないことになる。 1992年でその後の日本の「失しなわれたン十年」を予見するかのような記述がある。著者自身は当時は、日本よりもアメリカを想定していたりしたのかもしれないが。 >財政政策による景気の刺激は、貧乏人の定常状態の資産および消費を引き上げ、そのため効用も増加する。他方、金持ちの消費も増大し、資産も相変わらず増大し続けるが、その増加率は減少するため、効用はかえって低下してしまう。このように、不平等経済の財政政策は、不況が長引いた後では資産の再分配政策と同様に、貧乏人には良く、金持ちには悪く作用する。したがって、慢性的な不平等不況経済においては、金持ちによって牛耳られている政府が、真剣に財政政策によって景気を回復させる動機は少なく、そのため政治経済的に見ても、景気回復措置が積極的に取り入れられる可能性は絶望的なのである。<(p.148-149) アベノミクスの三本の矢のうち、なぜ財政政策が十分なされなかったかの説明になっている…といえよう。 新古典派がなぜ均衡経済にこだわるかというと、実は、経済学には予言の自己実現効果みたいなものがあるからではないか? …どうして自己実現効果があるかの理論的根拠は私は知らないが、小野氏の日本で、予言が実現していることを見ると、そう思えてしまう。 その上で、何をすればいいのか預言すべきということなのかもしれない。民主主義の側から何かアプローチできないか…例えば革命・戦争をこころざせばどうなのか…とかが(例えば国際的な学会などから)問われているのではなかろうか。