経済シミュレーションの話。つづき? micro_economy_*.py…
jrf> 経済シミュレーションの話。つづき?
micro_economy_*.py 的枠組み。RBC モデルの拡張(?)。
先に…、金利が下がっている状態では、未来の消費より現在の消費が選ばれており、金利が上がる状況では、高齢になるのに備え未来に貯蓄が必要であるから、未来に必要な「貯蓄」額も上がり、そのため多く働くことが必要になる。金利が低いから少子化が起こるという議論になる。…と書いた。
しかし、現代の標準的な RBC モデル(Real Business Cycle: 実物的景気循環)の場合、金利を上げれば、将来よりも今を重視するというモデルになっており、言わば上の私の結論とは反対である。
ニューケインジアンの元となった単純な RBC モデルですら成り立たないことを主張しても聴く耳は持たれないだろう。そこで、RBC モデルを少し変形して、私の言いたかったことを示すことを考える。これは [cocolog:93532297] で批判した恣意的方法に相当することになり、手順も似ているが、やむをえず恣意的な方法に訴えることにする。
ネタ本は長沼伸一郎『経済数学の直観的方法 マクロ経済学 編』と蓮見 亮『動学マクロ経済学へのいざない』である。
蓮見本の p.64 式 (4.2) において、主に子に対する資産の分配をすると考える。その額は ζ_t * K_t であるとする。
すると (4.2) 式は
K_{t+1} + C_t = (r_t - ζ_t) * K_t + w_t L_t + (1 - δ) * K_t
…になる。
ちなみに (4.11) 式の導出には、この ζ_t は関係ないものとしておく。すると、ζ_t は、オイラー方程式にのみかかわってくることになる。
そして、均衡において式(4.24)…
r* = β^{-1} + δ - 1
…のところが
r* - ζ* = β^{-1} + δ - 1
…に変わるだけである。
ところで、この式になる前の式 (4.24) を解釈し、βが変化すると考えると、利子率 r* を上げることは、β を下げることになる。つまり、過去よりも現在を高く評価することになるのだった。
それに対し、人の心理なのでβは一定であるべきとすると、変形後の式は、r* を上げるなら ζ* も上げなければならないとなる。つまり、利子率を上げるときは、(子に対する)資産の分配を増やそうとする…子供が増える…となるのである。これは私が論じたことだった。
次に、所得 Y* の動きを見よう。
式(4.25)において q = K*/L* と置くと r* が大きくなると、q は小さくなる。[google: (x / 0.3) ** (1/(0.3-1))]
一方、Y* = A* * (q ** α) * ((1 - α) * A* * (q ** α)/(((γ + 1) * μ * (A* * (q ** α) - δ * q)))) ** (1/(γ+1)) であり、q が大きくなると Y* は大きくなる。
[google: (x ** 0.3) * (0.7 * (x ** 0.3)/((2 * ((x ** 0.3) - 0.025 * x)))) ** (1/2)]
合わせると r* が大きくなると Y* は小さくなる。これは私の先の論とは逆である。
しかし、r* は βから決まってくるのであった。政策金利減は現在を高く評価し消費するよう促すと考えれば、βは下がり r* - ζ* は上がらねばならぬのである。ζ* は等しいか下がるべきで、r* は等しいか増えるべきとなる。r* が増えるから所得 Y* が減るということで私の先の論と整合性が出てくる。所得を減らしたくないなら、ζ* を減らさねばならない。
これは市場金利の r と政策金利の違いの話でもあろう。市場金利は期待=現在と将来のどちらを重視するかの β で基本的に変わってくる。政策金利は RBC モデルではこのβに作用する話でしかない。βはとにかく上げる(r* は下げる)べきで、政策金利を下げることがβを下げているなら見直すべきという話になる。
RBCモデルを離れ、物価上昇率を考慮するようになれば、市場金利は実際には見ためより大きくまたは小さく評価すべきとなって、場合によっては政策金利を上げることが物価を抑制し逆に実質的な市場利子率を下げ実質的な所得を上げるような効果をもたらすこともあるのかもしれない。(ニューケインジアンモデルの 式 (5.84) の解釈。)